電源を切っても内容を記憶する、不揮発性(ふきはつせい)メモリーについての備忘録です。
不揮発性メモリーの種類
下記表は代表的な不揮発性メモリーの仕様比較表です。だいたいこんな感じというだけで、実際にはそれぞれ幅広い仕様の製品が存在します。
項目 | EEPROM | FLASH | FeRAM |
---|---|---|---|
書き換え方法 | 消去+書き込み | 消去+書き込み | 上書き |
書き換え回数 | 100万回 | 10万回 | 10兆回 |
書き込み時間 | 5ms | 10µs | 100ns |
書き込み時の消費電流 | 中 | 大 | 低 |
消去単位 | バイト単位 | ブロック単位 | バイト単位 |
メモリー容量 | 小 | 大 | 中 |
保持期間 | 100年 | 20年 | 100年 |
EEPROM
書き換え可能な不揮発性メモリーとして最初に思い浮かぶのが、このEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)です。E2PROMとも呼ばれています。バイト単位の消去+書き込みが可能で、マイコンからすると非常に使い勝手のいいメモリーとなっています。メモリー容量は小さめのためデータの記録には向かず、機器の設定の記録などに使用します。
フラッシュメモリー
EEPROMの一種でもある、とにかく大容量が売りのメモリーです。USBメモリーやSDカード、SSDなど幅広い製品に使用されています。開発元は東芝で、消去を「ぱっと一括して」行う特徴から、写真のフラッシュ(ストロボ)をイメージしてフラッシュメモリーと命名されました。
読み書きは通常ページ単位で行います。このページがいくつか集まってブロック、複数のブロックが集まってセクターなどの単位で区切られることが一般的です。データを書き換えるためにはいったん消去する必要があります。大容量のメモリーになるほどこの消去単位が大きくなっていきます。1ページ書き換えるために、複数ページやブロック単位で消去するなんてこともあります。バイト単位で書き換えできないというのが、フラッシュメモリーの大きな欠点です。
フラッシュメモリーにはNOR型とNAND型があり、広く普及しているのは安価で大容量のNAND型です。しかしNAND型には書き換え耐性やデータの保持耐性が低い、書き込み時のエラーが発生しやすいなど、デメリットも多くあります。
FeRAM
強誘電体メモリー(Ferroelectric Random Access Memory)と呼ばれる、EEPROMの上位互換のようなメモリーです。圧倒的な書き込み速度と低消費電力により、FeliCaなどのICカードでも使用されています。このように高速書き込みが可能なのは、書き込み時にデータの消去が不要なためです。また書き換え耐性が高いことから、SRAMの置き換えとしての使用も可能となっています。
その他
上記以外でも、まだあまり普及していない不揮発性メモリーもあります。代表的なものとして、「PCM(相変化メモリー)」「MRAM(磁気抵抗メモリー)」「ReRAM(抵抗変化メモリー)」があります。
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