4-20mAは世界標準だが範囲外の取り扱いに注意が必要 | 組み込み

目次

4-20mAとは

4-20mAは工場などで採用されているアナログ信号の一種です。その歴史は古く、主には計測器の出力に用いられています。その名前の由来は出力仕様を表しており、ゼロ点をDC 4mA、フルスケール(またはスパン)をDC 20mAで表します。たとえば測定範囲が-30℃~70℃の温度センサーがあったとき、-30℃を4mA、70℃を20mAとして出力し、その傾きは100℃/16mAとなります。

4-20mAの基本モデル
4-20mAの出力特性

シャント(Shunt)は英語で「脇によける」という意味があり、分流器として電流検出を主な用途とする抵抗器です。シャント抵抗などと立派な名前が付いていますが、ただの抵抗器です。それ専用の物があるわけではありません。なお4-20mAではその計算のしやすさから、250Ωの抵抗器が良く用いられます。

4-20mAの特徴

  1. 直流電流信号は直流電圧信号と比べてノイズに強く、長距離伝送に向いています。
  2. 長距離伝送といっても数百m以下が一般的です。更なる長距離伝送にはデジタル通信を用いてください。
  3. 4mAをゼロ点とすることで、断線(0mA)を検出することができます。
  4. 250Ωの抵抗器を用いることで、4-20mAは1V~5Vの電圧入力に簡単に変換できます。
  5. 消費電力に制限は付きますが、最小構成として2芯のケーブル1本で電源供給と測定が可能です。

4-20mAの方式

4-20mAには2線式、3線式、4線式と用途に合わせていくつかの方式があります。一般的に用いられるのは2線式と4線式です。

項目2線式3線式4線式
配線数2本3本4本
コスト
ノイズ耐性
伝送距離短距離中距離長距離
センサーの種類制限大制限中幅広い
4-20mAの各方式の比較

2線式

最もシンプルな構成がこの2線式です。わずか2本の配線により、変換器への電源供給と測定値の取得を同時に行えます。その代わりに制限もいくつかあります。

  1. DC(直流)電源でなければなりません。
  2. 変換器の消費電流は4mA未満でなければなりません。
2線式の模式図

3線式

電源の+ラインと4-20mA信号ラインを分けたのが3線式です(GNDラインは共通)。これにより消費電流が4mAを超える変換器であっても、「ある程度」対応可能となっています。

3線式の模式図

4線式

電源ラインと4-20mA信号ラインを完全に切り離したのが4線式です。AC(交流)電源の使用も可能で、変換器の消費電力を気にする必要はなくなります。また電源ラインのノイズが4-20mA信号に影響を与えにくくなっているため、よりノイズに強い方式といえます。

4線式の模式図

4-20mAの関連標準

4-20mAは世界標準として広く利用されています。しかし4-20mAの範囲外については各社独自の仕様である場合が多くあります。以降に広く利用されている規格を紹介しますが、それもすべてではありません。
オーバーレンジやアンダーレンジ、計器異常の範囲はメーカーや機器により異なります。アンダーレンジ~オーバーレンジが3.6mA~21.6mAの範囲である機器もあれば、1.6mA~22.4mAである機器もあります。面倒なことではありますが、入出力範囲は可変化することを推奨します。

断線等により無入力状態になったとき、変換器出力を安全側である最大または最小方向に振り切らせることをバーンアウトと呼ぶことがあります。

NAMUR NE43

NAMUR(ナムール、Normen arbeitsgemeinschaft für Mess-und Regeltechnik in der chemischen Industrie)はドイツの規格で、Recommendations(NE)とWorksheets(NA)からなります。そのうち43番目のNE規格が本項になります。
NE43では4-20mA以外の範囲に対して、下表のように定めています。NE43への対応を謳った機器は多くあるため、4-20mA入出力機器を開発する場合はNAMUR NE43への対応を強く推奨します。

> 22.0mA配線異常 (短絡)
20.5mA~22.0mA機器異常
20.0mA~20.5mAオーバーレンジ
4.0mA~20.0mA通常時
3.8mA~4.0mAアンダーレンジ
3.6mA~3.8mA機器異常
0.0mA~3.6mA配線異常 (開放)
 NAMUR NE43の出力仕様
NAMUR NE43の出力仕様

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次